生まれる前でも相続人になれる!胎児の相続権について解説

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相続 胎児

妊娠しているタイミングで、もし夫が死亡してしまった場合、お腹の子は夫の財産を相続することはできるのでしょうか?

胎児がいる場合の相続では、民法と税法とで数え方や扱い方が異なります。

今回は胎児が相続権をえる条件や財産分配の方法、生まれてきた後に必要な手続きなどについて、詳しくお伝えいたします。

1.胎児の相続権

1-1.胎児が相続権を得る条件

医学では「胎児」とは妊娠8週以後のことを指すようですが、法律上ではいつから「胎児」と呼べるのでしょうか。
この定義については、「相続権を得る胎児」という意味で、民法第772条を援用するのがいいかと思います。

民法第772条
1.妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2.婚姻成立の日から200日後、又は、婚姻の解消若しくは取り消しの日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する。

また、「胎児」から民法上の「人」として扱われるには、母体から胎児の身体の全部が露出したタイミングが一般的とされています。

胎児は、生きてうまれることができれば、相続権および代襲相続権を有することになります。これは民法第886条の「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」に基づいています。

民法第886条
1.胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2.前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

もし死産だった場合、同法「胎児が死体で生まれたときは、適用しない」と規定されており、相続権および代襲相続権を有することができなくなります。
この死産というのは胎内で死亡したことを意味します。

たとえ誕生後5分間でも生きていたのであれば、その赤ちゃんは今回の相続権を有したことになります。

1-2.出生後に死亡してしまった場合

出生のあと5分後に赤ちゃんが死亡した場合、その時点から赤ちゃんの相続が開始することになります。

たとえば、夫が現金4,000万円を残して死亡したとしましょう。
その夫には妻と子Aがおり、妻は現在妊娠中(子B)です。

この場合、妻が子Bを出産した時点で、妻:2,000万円・子A:1,000万円・子B:1,000万円を相続することになります。

そして子Bが5分後に死亡した場合、子Bの1,000万円を妻と子Aに分配することになり、結果として、妻:2,500万円・子A:1,500万円を相続することになります。

1-3.胎児がいるときに離婚した場合

胎児がいる状態で離婚し、その後で離婚した夫が死亡した場合、妻は既に他人という扱いになるので相続人にはなりません。

しかし、赤ちゃんはたとえ親が離婚していようとも、離婚した夫の子とみなされるのであれば相続人になります。

1-4.子の有無による法定相続分の違い

もし、はじめての妊娠期間中に夫を亡くした場合、胎児が生きてうまれてくるかどうかによって、下記のように法定相続分が異なります。

死産・夫の親が生きている場合:妻3分の2、夫の親3分の1
死産・夫の親が既に死亡している場合:妻4分の3、夫の兄弟4分の1
胎児が生きてうまれてきた場合:妻2分の1、子2分の1

このように、実際に出産してみないと、「誰が相続人になるのか」「法定相続分の割合がどうなるのか」が判断できません。

2.胎児が生きてうまれたときの手続き

2-1.特別代理人の選任が必要

上記でお伝えした通り、胎児が生きてうまれてきた場合には妻と子が相続人となります。

通常、相続人が複数いた場合、「現金がほしい」とか「不動産がほしい」など相続財産をどのように分けるか話し合う必要があります。
ところが、生まれたばかりの赤ちゃんはそのような話し合いに参加することができません。
そのため、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらうことになります。

妻としては「この子の母親なのに私が代理人になれないの?」と疑問に思うかもしれませんが、今回の相続において妻と子は利害が対立してしまう立場にあるので、妻は赤ちゃんの代理人になることはできません。

もし妻が代理人になれたのなら「夫の財産はすべて私のもの。この子には一切相続させない」といったこともできてしまい、赤ちゃんが可哀想なので、法律上、家庭裁判所で利害が対立しない第三者を選任することとされています。

2-2.特別代理人の選任申し立てに必要な書類

特別代理人の選任申し立てにあたっては、妻が「子の住所地の家庭裁判所」に出向き申し立てることになります。

この手続きは、赤ちゃんに限らず未成年の子と利害が対立する場合に必要です。
手続きを行うにあたり下記の書類が必要です。

(1)特別代理人選任申立書
(2)子の戸籍謄本
(3)親権者または未成年後見人の戸籍謄本
(4)特別代理人候補者(利害対立のない親戚など)の住民票または戸籍の附票
(5)遺産分割協議書や登記簿謄本
(6)利害関係を証明する資料

2-3.相続放棄をする場合

出生前に胎児が相続放棄をすることは出来ません。
相続放棄するには、出生後に親権者が代理で家庭裁判所に申述する必要があります。

しかし、妻が夫の相続をうけようとする場合には、利害が対立してしまうので特別代理人の選任が必要になります。

3.税法上では胎児を考慮しない

3-1.相続税法上の取扱い

相続税を計算する上ですべての納税義務者に対し公平性を保つ必要があるため、相続税法上では、まだ生まれていない胎児は除外して考えると決まっています。

もし、相続税の申告をしたあとに赤ちゃんが生まれた場合には、修正申告や更正の請求等をする必要があります。
このことから言えるのは、可能なら赤ちゃんが生まれてから遺産分割をした方がいいということです。

相続税の申告および納税は、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に被相続人の住所地を管轄する税務署で行う」とされています。
赤ちゃんが生まれるまで申告や納税を待っていると言えるでしょう。

3-2.相続財産が分割されていないときの申告

相続税の申告は、相続財産が分割されていない場合であっても期限が延長されることはありません。
分割が間に合わないときは、胎児が生まれた日以降2ヶ月以内であれば、申告の延長を申し出ることができます。

しかしその際に、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減の特例は適用できない場合もあります。

4.まとめ

相続が発生した日に、胎児がいる場合の相続のポイントは「民法」と「税法」の違いです。
民法では「既に生まれたもの」として扱い、税法では「いないもの」として扱われます。

ただし、胎児が生きていた場合は、どちらの場合でも相続人となります。
民法と税法によって数え方が異なることを覚えておきましょう。

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