相続で物納の対象となる財産の種類と申立手続きの方法

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相続税は土地や不動産など、物で納められることをご存じでしょうか?

相続税は原則、現金で納付することとされています。
しかし、現金で納められない場合は、土地や不動産、有価証券など、現金の代わりに物で納めることができ、この制度を物納といいます。

この物納を利用するためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。

さらに持っている財産なら、なんでも物納として活用することができるわけではなく、納めることができる財産とできない財産があります。

そこで今回は相続における物納について、適用条件や物納できる相続財産の種類などお伝えします。

1.相続税は金銭でなくても払えるの?

相続税は金銭で一括払いするのが基本ですが、金銭以外で払うことも可能です。

ただし、どのような場合でも物納が認められるというわけではありません。
物納の要件として、国税庁ウェブサイトでは下記のように記載されています。

(1) 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。

(2) 物納申請財産は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、定められた財産及び順位で、その所在が日本国内にあること。

(3) 物納に充てることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないものであること及び物納劣後財産に該当する場合には、他に物納に充てるべき適当な財産がないこと。

(4) 物納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること。

出典:国税庁ウェブサイト No.4214 相続税の物納(2 物納の要件)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4214.htm

相続の開始から10カ月以内に金銭で一括払いするのが無理なときは、まず分割して支払う「延納」という方法が認められます。
そして、分割して支払う延納でも期限内に支払えない場合に、初めて物納が認められるのです。

具体的には、相続した人が手元に相続税を支払えるだけの金銭がない場合を考えてみるとわかります。

まとまったお金のない人は、何とかしてまとまったお金を作ろうと奔走します。
借金をして支払おうとする場合もあれば、土地や建物を売却してそのお金で相続税を支払おうとする場合もあるでしょう。
そうやって期限内に相続税分の金銭を用意できた場合には、一括払い、一部しか金銭が用意できなかった場合には延納を選ぶことになります。

ところが、期限内に土地や建物の買い手が付かず換金できないというパターンもあり得ます。
そうなったときに、はじめて認められるのが物納です。

2.物納できる相続財産

どのような財産でも相続税として納められるわけではなく、物納できる財産はあらかじめ定められています。

2-1.物納できる財産の要件

物納できる財産は、支払おうとしている相続税の課税価格計算のもとになった相続財産であること、つまり遺産として相続した財産のことです。
しかも、日本国内にあるものに限られます。

ですから、相続税を支払うために、もともと自分名義で持っていた土地や建物を物納することはできませんし、海外の土地や建物を相続した場合でもその土地や建物は物納の対象にはなりません。

2-2. 物納できる財産の優先順位

さらに、物納できるものには優先順位があります。
第1順位は国債や地方債、不動産、船舶、(平成29年度税制改正より、上場されている有価証券も対象となります)です。

それらがない場合は第2順位として、社債や株式などの有価証券(平成29年税制改正より非上場の有価証券が対象となります)が選ばれます。

それらもない場合には第3順位として、テレビやパソコンなど動産(不動産以外の財産)が選ばれます。

ですから、不動産や国債は手元に残しておいて、動産で支払いたいと思っても無理なのです。

3.物納の申請手続きの流れ

物納を行うためには、物納申請書と物納手続関係書類を被相続人(亡くなった人)の死亡時の住所を管轄する税務署へ提出する必要があります。
その後、申請の内容や財産が物納として適切であるかどうかの調査が行われ、物納の許可・却下の判断が下ります。

物納申請が許可された場合は、許可された物納財産や税額、収納価格等が記載された相続税物納許可書が送付されます。
また物納申請を却下された場合は、物納の再申請を行うか、もしくは納税方法を延納か金銭納付へと変更する必要があります。

▼手続き方法について詳しくはこちらをご参照ください。
国税庁ウェブサイト 延納・物納申請等
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/enno-butsuno/01.htm

4.物納の注意点

4-1. 譲渡所得税や利子税がかかる場合がある

物納が超過と判断された際に金銭で還付された場合や分納した財産に譲渡益がある場合、その分の金額が譲渡所得税の対象になることがあります。
また物納が却下された際、申請をしてから却下されるまでの期間の利子税が発生します。

4-2.申請が却下されることがある

また申請した財産の中に、不適格な財産がある場合は、申請が却下されることもあるため、注意が必要です。

【不適格とされる財産の一例】
不動産 ・担保権が設定されていることその他これに準ずる事情がある不動産
・境界が明らかでない土地
・耐用年数を経過している建物など(通常の使用ができるものを除く)
株式 ・譲渡制限株式
・共有に属する株式
・質権その他の担保権の目的となっている株式など

詳しくは国税庁ウェブサイトにて記載されています。
▼国税庁ウェブサイト No.4214相続税の物納(3 管理処分不適格財産及び物納劣後財産)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4214.htm

4-3.財産整備費用や維持管理費用がかかる

土地や建物を物納として納める場合には、登記簿謄本や固定資産税評価証明書などの他に、地積測量図や建物の平面・断面図などが必要となる場合があります。

これらの書類をそろえるための費用や、物納財産の整備のための費用、物納申請が許可されるまでにかかる固定資産税や建物の修繕費などの維持管理費用は自己負担となります。

5.まとめ

相続税の物納は、あくまでも金銭で相続税の支払いができない場合で、分割して納付もできないと認められた場合に限られます。

ですから、相続財産からは相続税を支払うことができないけれど、自分の個人名義の通帳にはまとまったお金があるなどという場合には一括払いか延納を選ばなければなりません。財産は金銭に限らず、ゴルフ会員権などのように、比較的簡単に換金できるものも含まれます。

そのため、物納を申請する前には、相続する財産だけでなく、自身の所有している財産についても確認しておく必要があります。

また、不動産を物納する際には、他の人の権利が帰属していないか、担保権は付いていないかなどの確認も必要です。

他の人の権利が付いている不動産は物納の対象にはならないので、注意しましょう。

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