また、熟慮期間の伸長の申立は、必要があれば複数回行うことができます。
ですので、理由によっては、熟慮期間の伸長が複数回認められる場合があります。
3-3.熟慮期間の伸長の申立方法
熟慮期間の伸長を行うには、相続人が相続開始を知ったときから3ヶ月以内に被相続人の最後の住所地の管轄の家庭裁判所に申立を行います。
詳しい申立の方法については、裁判所HPに記載がありますので、参考にして下さい。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_25/
なお、相続人のうちの1人が期間の伸長の申立をしても、その他の相続人の熟慮期間には
関係しません。そのため、相続人全員が期間の伸長をしたい場合は、相続人全員がそれぞれ申立を行う必要があります。
また、熟慮期間の伸長の審理には1~2週間かかります。
審理期間中に熟慮期間が終了し、なおかつ熟慮期間の伸長が認められなかった場合には、相続放棄もできないという事態もあり得ますので、熟慮期間の伸長の申立は日程に余裕を持って行うようにしましょう。
4.まとめ
今回は、相続放棄の期限について様々な事例を挙げ、どの時点を始まりとし、どの時点を終わりとするか、また、期限内に放棄するか否か判断ができない場合の限定承認や熟慮期間の伸長について解説を行いました。
相続放棄を検討しているならば、相続の発生を知ってから3ヶ月の熟慮期間内に、財産の洗い出し、戸籍等の必要書類の収集、申立書の作成、そして相続放棄するか否か判断が必要となり、かなりの急務となります。熟慮期間の伸長の申立を行うのならば、もっと早く手続きを行わなければなりません。
判断に迷ってしまったり、財産調査が思うように進まない場合でも、相続放棄の期限はだんだんと迫ってきてしまいますので、不安を感じた場合には、早めに弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。
著者:相続ハウス 山下 雅代(相続診断士)
監修:銀座中央総合法律事務所 清水 保晴(弁護士)