財産:1億4,000万円 | |
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相続人と相続額 | 手数料 |
配偶者 6,000万円 | 43,000円 |
長男 4,000万円 | 29,000円 |
次男 4,000万円 | 29,000円 |
手数料総計 | 101,000円 |
配偶者に6,000万円、長男に4,000万円、次男に4,000万円の財産を相続させる場合には、配偶者の手数料は43,000円、長男・次男のそれぞれの手数料は29,000円となり、その合計額は101,000円になります。
この場合、相続財産額の合計が1億円超になりますので、遺言加算手数料は追加されず101,000円が総計手数料となります。
以上のように、相続人が複数いる場合には、相続人・受遺者毎に手数料額を算出し合算します。
2-3. その他の遺言書作成に関連する費用
遺言者が入院中など、公証役場に出向くことができないときは公証人が病院等に出張することもできます。
但し、以下のような別途費用が発生してまいります。
*公証人が病院等に出張して証書を作成した場合: 目的価格による手数料の5割増し(1.5倍)
*日当 20,000円/1日(4時間まで1万円)
*旅費交通費 実費
*正本(または謄本)の交付 250円/1枚
「祭祀の主宰者の指定」については、相続又は遺贈とは別個の法律行為であり、かつ、目的価格が算定できないので、その手数料は11,000円です。
2-4. 専門家に依頼する場合
遺言書自体の作成費用は、公正証書遺言書以外は基本的には発生しません。
しかし、自筆証書遺言や、たとえ秘密証書遺言にしても、その有効性を確実なものにする為に、遺言書の文案作成や、文案のチェックを専門家に頼むこともあります。
例えば、自筆遺言書が遺されていたけど、相続税対策が全くされていない、遺留分を侵害している、代償金が配慮されていない等問題を残した遺言書が珍しくありません。
別途費用はかかりますが、遺言書を遺し、形だけではないその有効性を生かそうと考えれば、専門家のチェックをぜひ求めたいところです。
また、公正証書遺言を作成する場合は、直接、公証役場でヒアリングを受けながら作成してもらう方法と、任意で弁護士や司法書士等の専門家に依頼する方法があります。
公証人は、遺言書の成立を確実にすることにより、紛争を回避するようなアドバイスはしますが、遺言書どおりの分割を実現するようなアドバイスまではしてくれないこともあります。
このため、上記で述べたような問題が残っているということもありえます。
難しい相続人事情を抱えている様なときは、有効性を保つ為やその後の手続きをスムーズに進める為に、専門家に依頼することをお勧めします。
金額は十万円前後からを目安に、サービスの違いで料金は変わってまいりますが、たとえ費用がかかっても大事なメッセージになりますので、依頼人の状況を把握しながら親身に対応してくれて、かつ自分に合った先生に依頼しましょう。
3.遺言書と作成費用の関係
3-1. 費用をかけるメリット、デメリット
自筆証書遺言は、遺言書を全て遺言者が準備作成し検認時の費用以外はかからないという方法をとることができます。
金額的には大きなメリットを得られます。
しかし、その遺言書の内容に万が一不備があった場合には無効となる可能性もあります。
秘密証書遺言も同じく、内容の有効性チェックが怠っていたとしたら、自筆証書遺言と同じリスクをかかえるデメリットにもつながります。
ここで専門家に頼んで内容のチェックを行うことでデメリットを最小限にとどめることも可能です。
また、公正証書遺言を選択することは、最も費用は発生するものの、そのデメリットから確実な安心安全のメリットを得ることにもなると言えます。
▼詳しく知りたい方はこちら
【どれが良い?遺言書の種類/手間と効果と費用の比較】
3-2.書き直しの可能性
遺言書は「一度書いたら終わり」という性質のものではありません。
時間の経過とともに財産の内容が変遷する「財産内容リスク」、想定しなかった事故等によって遺言書を準備した時点とは異なる推定相続人の状態となっている「推定相続人変化リスク」、遺言者自身の当初の気持ちの変化による「気持ちの変化リスク」など、遺言者を取り巻く状況は3年から5年の期間で変化するのが通常です。
にもかかわらず、初めからコストのかかる公正証書遺言で作成してしまうと、作成し直すべき時期に一度かけてしまったコストのことを気にして遺言書の再作成に進みにくい状況になりかねないため、若いうちは自筆証書遺言や秘密証書遺言などの利用によってコストを抑えておく、といった工夫も重要になってくるでしょう。
4.まとめ
今回は、遺言書の種類別に、作成に伴って発生する費用及びより有効なものにする為に、任意で発生する費用とそのメリット・デメリットをお伝えしました。
もし遺言書を遺すことをお考えでしたら、遺言者様の置かれている状況から、どういった種類の遺言書が適しているか決まってくると思います。
係る費用については通常、自筆証書遺言、秘密証書遺言の順に、そして中でも一番費用のかかる公正証書遺言となりますが、一概に費用だけで決められるものでもなさそうです。
その財産額や相続人の数、相続人間の関係が複雑であったりすれば、より選択していく必要性が増してきます。
相続が発生しますと、期限の設けられた手続きや作業が一度にのしかかり、心身共に負担が増えるものです。
何かあってからでは遅いことが多い遺言書の作成。準備ができるところで、遺言書作成が役に立ちそうであれば、確実な相続準備を早めに進めながら、今後の生活に向けていくこともひとつの方法とも考えられます。