エンディングノートや終活という言葉が定着し、遺言書を用意しておこうと考える人も多いのではないでしょうか?
遺言書にはいくつかの種類があり、一般的には自分で遺言書を書く自筆証書遺言の方法を選ぶ人が多い傾向にあります。
この場合、相続発生後に裁判所で検認といわれる、遺言書の内容を明確にし、偽造・変造を防止するための手続を行わなければなりません。
この検認の申立方法は決して難しくありませんが、やり方はあまり一般に知られていません。
遺言書の検認を行うためには、多くの裁判所のうちどこを選べばいいのか、またどのくらい費用がかかるのかなど、遺言書の検認の手続き方法についてご説明いたします。
1.遺言書の検認
1-1.検認とは
普通遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの種類がありますが、そのうち自筆証書遺言は自分で費用をかけずに作成をすることが可能です。
手軽に作成ができて人気がある反面、遺族が遺言書を発見した時には、家庭裁判所に遺言書の真偽を認めてもらう必要があります。
この家庭裁判所で遺言として認めてもらう作業を検認といいます。
▼自筆証書遺言について詳しく知りたい方はこちら
【相続トラブル防止のために!自筆でつくる遺言書の書き方】
1-2.検認の役割
自筆証書遺言には証人がなく、保管場所の規定もないため、紛失・偽造・変造などの危険があります。
そのため検認が必要なのですが、検認とは遺言書の有効性は担保しません。
あくまで、遺言書が形式的条件を満たしているかの確認をすることを指します。
1-3.検認がいらない遺言書もある
公正証書遺言という方式であれば検認が必要ありません。
しかし、手続きが煩雑で費用も発生します。
検認が不要なものは、作成時に所定の様式や承認といった規定をクリアした結果だと覚えておくといいでしょう。
ただし、秘密証書遺言など一定の手続きをしても、検認が必要な遺言書もあるので注意が必要です。
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2.検認の申立方法
2-1.申立人と申立手続きの流れ
相続というと、申立ては相続人が行うようなイメージがありますが、そんなことはありません。
親族以外の信頼できる知人や弁護士に遺言書を預けているというケースもあります。
相続発生後は、遺言書の発見者、もしくは保管者が検認の申立を行います。
申立てはすぐに行われず、後日、申立人と相続人が呼び出されて、検認を受けます。
【検認までのイメージ】
2-2.申立て先
申立て先は、故人の最後の住所地の管轄の家庭裁判所です。
管轄は裁判所のサイトで調べることができます。
なお、申立ての際、封がされている遺言書の場合は開封しないようにしましょう。
必ず家庭裁判所にて、遺言書を開封しましょう。
▼裁判所の管轄区域はこちら
裁判所ウェブサイト:http://www.courts.go.jp/saiban/kankatu/index.html
2-3.費用
申立て費用は原則、遺言書1通につき収入印紙800円分となります。
その他、戸籍などの必要書類を取得するのに若干の手数料が発生します。(必要書類については後述します。)
なお、検認が終わった後には「検認済証明証」が取得できます。
検認済証明証の取得には、1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。
遺言の執行にはこの証明書が必要となりますが、申立てをしないと発行されません。
検認済証明書がない遺言書では、銀行での預金口座の名義変更や不動産の相続登記などができないため、忘れずに申請しましょう。
2-4.必要書類
必要書類は被相続人と相続人全員(亡くなっている人も含む)の戸籍です。
【基本の必要書類】
被相続人 | 出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 |
---|---|
相続人 | 全員の戸籍謄本 |
死亡した被相続人の子がいる場合 (代襲者含む) |
出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 |
上記は、相続人が子どもである場合を想定しています。
相続人が父母・祖父母等の直系尊属や兄弟姉妹等である場合は、同じように直系尊属の戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本も必要となります。
例えば、被相続人の父母、祖母が死亡していて、祖父のみが相続人というケースでは、父母と祖母の戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本が必要となります。
つまり、子どもや親などがいない、または死亡していることにより、相続人の親等が飛ぶ場合は死亡した相続人の戸籍が必要です。
同じように兄弟姉妹や甥・姪が相続人の場合、その間を埋める相続人の戸籍が必要です。
2-4-1.申立書
家庭裁判所へ提出する申立書はどのようなものなのでしょうか。
テンプレートは以下のようなもので、裁判所のホームページからダウンロード可能です。