相続登記が必要になった際に、どれくらいの料金がかかるのかと、思う方も多いのではないでしょうか。大体の相場を知っておけば、手続きを始める際にも安心ですね。
また、相続登記は、専門家に依頼をしなければ手続きできないのか、もしくは自分で手続きしようと思ったらできるものなのでしょうか。
今回は、相続登記について、なぜ相続登記が必要なのか、手続きにかかる主な費用の相場、また、専門家に依頼すべきなのか、専門家に依頼をした場合と自分で手続きを行った場合のメリットデ、メリットについてご紹介していきたいと思います。
1.相続登記とは
1-1.相続登記とは
不動産(土地、建物、マンションなど)を持っている方が亡くなられた後、その不動産の名義を相続で受け継いだ人に書き換えることを相続登記といいます。
「相続登記」と聞くときもあるし「不動産登記」と聞くときもありますが何か違うの?と思われるかもしれません。これらは同じ意味として捉えていただいて構いません。
相続登記とは、相続が原因によって名義を書き換えることをいいますので、例えば売買によって名義を書換える場合は、「売買登記」といいます。
相続や、売買、贈与などの原因により不動産の名義を書き換えること、その登記を「不動産登記」といいますので意味は同じです。
1-2.なぜ相続登記をする必要があるのか
実際、亡くなった人の名義のままになっていても、その家で問題なく生活はできます。
では、なぜ相続登記をする必要があるかといいますと、亡くなった人の名義のままになっていると、いざその家を処分しようと思ったときに、気づいたときには相続人の数が増えていて全員の同意がないと不動産を処分できず、なにもできない状態になってしまったというケースはよくある事例です。
また、相続手続きのときにはもめなかったのに、後になって売却しようと思ったときに他の相続人の気が変わって、本来自分のものになる約束だった家なのに売却時にトラブルになってしまったり・・・など後から思わぬ問題が出てくることもあります。
相続登記の手続きに期限はありません。手続きをしなかったからといって罰則などの定めもありません。
相続税申告には10ヵ月という期限が設けられているため、相続人の方々は期限内に終わらせるために手続きを進めていきますが、相続登記となると期限がないために手続きをせずにそのままにしてしまう方も少なくありません。
相続登記をしようという意識が薄れてしまう前に、取り掛かることをおすすめします。
2.相続登記にかかる費用
2-1.費用の種類
不動産の登記費用とは、①実費②司法書士報酬(手数料)のことです。
必ずかかる費用は①の実費の一部で、②の司法書士報酬に関しては登記の手続きを自分で行わずに、登記の専門家である司法書士に依頼をした際にかかる費用になります。
②をかけるか否かについて、実際は司法書士に頼む方が多いですが、手続き自体は、絶対に司法書士に依頼しなければ登記はできないという訳ではないため、自分で手続きを行う方もいます。
ご自身で登記の手続きをした方は①の実費のみ負担することになります。
実費とは、登録免許税・登記簿謄本代・登記に必要な書類が手元にない方はその取得費用・交通費や郵送費等になります。
これらは、ご自身で登記の手続きをされる方も、司法書士に代行を依頼した方も必要となる費用ですから、依頼をした司法書士によって変わるものではありません。
2-2.登録免許税とは
登録免許税とは、登記の申請時にかかる免許代のことをいいます。登記申請をする段階で法務局へ納めます。
かかる費用は不動産の「固定資産評価額×0.4%」と定められています。
仮に2,000万円の評価額の不動産登記を行う場合、8万円になります。
固定資産評価額は、年に1回、5月頃に市区町村から送られてくる納税通知書に記載されておりますし、市区町村に問い合わせをして固定資産評価証明書を取得すれば、把握することができます。
2-3.登記簿謄本代とは
登記簿謄本とは、土地・建物・会社などの原本の内容を全て写して作った文書のことをいい、全部事項証明書のことです。法務局で取得することができます。
登記完了後、登記内容に間違いがないか確認をするために登記簿謄本を取得します。
取得費用は1通につき600円かかります。
2-4.登記をするために必要な書類収集にかかる費用
上記でご案内した費用は、必ずかかる費用になりますが、その他にも予め準備していれば収集の必要はありませんが、用意がなかった場合にかかる費用があります。登記に必要な書類を取得するための費用です。
こちらは、相続登記をする際に必要となってくる書類の費用相場を一覧にしたものです。
これらの費用は、管轄の市区町村によって異なってきます。首都圏や地方によっても料金にばらつきがあります。
また、これらは登記手続きと一緒に専門家に依頼することで取得してくれるところもあります。
2-5.専門家へ依頼をする場合にかかる費用
専門家に相続登記の手続きを依頼した場合、2-1で述べた②司法書士報酬が別途かかってきます。
これは、各司法書士事務所によって料金が変わってきますし、不動産の評価額によっても変わることが一般的です。マンションなのか一戸建てなのか、これらによっても料金が変わってくることもあるため、一概に○○円ですとは言い切れません。
司法書士の報酬は、昔は司法書士会の会則によって「報酬に関する規定(以下、旧規定といいます)」が定められており、その規定に基づいた報酬を依頼者の方に請求していました。
従って、当時はどの司法書士に依頼をしても「司法書士報酬」も今の「実費」と同じようにほとんど差は出ませんでした。
ですが、平成15年に司法書士法が改正され、司法書士会の会則も変更されました。これにより、「旧規定」が廃止され、司法書士の報酬は自由化されることとなったのです。
司法書士の報酬が自由化されたことにより、司法書士ごとに報酬を決める権限が発生しました。そのため、どの司法書士に依頼をするかによって報酬額が変わってくるようになったのです。
報酬額が安い事務所もあれば高い事務所もあり、様々ですが注意して頂きたいのが、司法書士報酬が高いから手続が早く終わる、逆に、報酬額が低いから手続が遅い、というようなことではありません。
せっかく高いお金を払って専門家に依頼をしたのにも関わらず、手続きが遅かったり正確でなかったりしては、依頼をした意味がなくなってしまいます。
依頼をする司法書士事務所の見極めが大切になってくるといえるでしょう。いくつかの事務所から見積書を取ってみたり、初回は無料で相談ができるような事務所であれば、話を聞いてみて様子を見るのも良いでしょう。
ご参考までにですが、どれくらいの報酬額が適正なのかを調べてみると、登記手続きのみでは、数万円~十数万円位の事務所が多いように見受けられます。
2-6.専門家へ依頼をする際の注意点
報酬額を提示している事務所によって、相続登記の申請だけでなく、遺産分割協議書の作成や、必要書類の収集、相続人関係図の作成なども、あらかじめ費用に含めている事務所もあれば、含まれていない事務所もあります。
ここで、遺産分割協議書は記載に不備があると登記ができない場合があり、せっかく相続人に印鑑をもらったのにやり直しとなってしまうことにならないように、同時に頼むか否かを考えましょう。また、適正な相続関係図がないと戸籍の原本を返してもらえないため、こちらも依頼するか否かを検討するとよいでしょう。
依頼をする必要がなかったのに、予めそれらを含めた金額設定の報酬を支払うことになった。逆に、含まれておらず依頼をした後から、相続登記にあたり他の手続きも必要になり、追加で依頼をしていたら料金がかさんでしまった・・・
などということもあり得ますので、ご自身が依頼をする必要があるものはどの手続が含まれるのかを事前に調べるか、もしくは司法書士に直接聞いて報酬額のシステムを把握しておくことも大事です。
3.専門家へ依頼をするのとしないの、どちらが良いのか
3-1.自分で手続きを行うメリット
- 専門家に依頼をするよりも、費用を安く抑えられる。
- 相続登記について、必要最低限の知識と経験を養うことができる。
3-2.自分で手続きを行うデメリット
- 登記の申請書を作成したり、法務局へ足を運んだりと、手間や時間がかかる。時間に余裕のない人は時間を割いて作らなければならない。
- 申請書を作成する際や、法務局とのやり取りなどで専門的な知識が必要となる。
- 不慣れであったりすると、処理が長引いてしまい、思った以上に時間が必要となってしまう恐れがある。
- 何度も修正や確認のやり取りをすると、その分の交通費や郵送代がかさむ。
- 専門的でない限り、効率的に処理することが難しいので、ストレスの原因になりかねない。
3-3.専門家に依頼をするメリット
- スピーディーに手続きを進められる。
- 手続き内容が煩雑な場合でも対応できる。
- 仕事をしていたり、多忙な場合、時間をつくるのが難しい方は全て任せられる。
- 複雑な戸籍謄本や除籍謄本の収集をしなくてすむ。
- 将来の紛争予防になる。どのように登記をするかを、手続の段階で専門家の視点から見てもらえるので、後々のトラブルに発展しにくくなる。
3-4.専門家に依頼をするデメリット
- 費用がかかる。
- 依頼をする司法書士事務所によって、金額が様々なため、想像以上の報酬を請求されることもある。
4.まとめ
今回は、なぜ相続登記が必要なのか、手続きにかかる主な費用の相場、また、専門家に依頼すべきなのか等についてご紹介させて頂きました。