柔軟な財産管理が可能に!家族信託を活用するための基礎知識

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母は、日常生活において、今のところ何でも自分で行い体力もまだあると感じている。
しかし、たまに物忘れをすることがあり、将来、認知症を患うのではと不安に思うこともある。

◇解決策
この場合、母の判断能力がしっかりしているうちに、長女などが受託者として家族信託の契約を結んでおけば、いざというときに母名義の預貯金についての引き出しを含め、不動産等の売却も可能になります。

4-2.事例2: お一人様の老後と死亡後の信託

◆背景
独身か、あるいは配偶者は既に死亡し子供がいない。常に自分が動けなくなった時の不安は抱えている。
そんな中で、親族には交流している姪がいる。

◇解決策
元気なうちに姪を受託者として委託して、万が一、自分に何かあった時に、身の周りの世話も含め財産管理を頼む契約を結んでおくと安心です。

 

5.家族信託を活用する場合の 注意点

「家族信託」制度を利用すると、これまで難しいとされていた、柔軟な財産管理を実現することが可能になるということをお伝えしてまいりました。

例えば、従来の後見制度では、「本人保護」という法律の趣旨の下、本人保有資産を有効活用する動きが取りにくい状況があったわけですが、家族信託の活用によって、本人の意思能力が認知症などで失われたのちも、いわゆる「相続対策」を親に代わって子が行える、という状況を作ることができるようになったわけです。

一方で、この新しい仕組みも万全な手法ではないということも気をつけていかなくてはなりません。

例えば、家族が受託者になる場合は、外から資産の管理・運用の実態が見えないという問題があります。
信頼していたはずの受託者が、委託者の意に反する行為を起こすということもあり得ます。

そういったリスクを回避する為に、家族信託の内容を監視し監督するための信託監督人をつけることや、受託者を2人体制にしておくことも、大切な方法として考えておくとよいでしょう。

他にも、外形的に信託としていても、内実が信託として認められない場合は、信託そのものが否定されるケースもありえます。
契約書を締結したので終わり、というものではなく、そこからが実際のスタートであって、信託の枠組みが否定されないように、きちんとした運営が必要であることも注意したいところです。

6.まとめ

最近、よく耳にするようになった「家族信託」について、「家族信託」とはなんなのか、信託銀行の信託との違い、どういう場面で役に立つのか、メリット・デメリットなどを、今日おきていることを取り上げながらご案内してまいりました。

信託の法制度が改正されてからまだ10年、それまでは信託銀行や信託会社以外の家族が受託者になるのはほとんどなかったと言っていい状態でした。

現状ではまだ、実務経験のある専門家も少ないのですが、「家族信託」は、これから徐々に身近な制度となっていくものと思われます。

もしご自分の身辺に思うところがあれば、まずは専門家にご相談しながら、この新しい制度を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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著者:相続ハウス 奈良澤 幸子 (相続診断士)
監修:司法書士法人おおさか法務事務所

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