借金は誰にも知られたくないからという思いから、隠している場合があるからです。
借用書などの書面や、預金通帳の引き出し明細も見て、ローンなどの引き落としの有無を確認します。
また、債務者が信用組合に加入していれば「個人情報信用機構」に対して、被相続人の情報開示を求めることも可能ですが、個人的な借金などは、被相続人が記録などをしていない限り、完璧に調査することはほぼ困難です。
ですが、これらをきちんと調査しておかないと、後々大変なことになる場合がありますので、入念に調査をしましょう。
3-2-2.未払いの公租公課
公租公課とは、国や地方公共団体に収める負担の総称のことをいいます。具体的には固定資産税や健康保険料、社会保険料などがあります。
一般的に、被相続人の最終居住地がある市区町村役場や勤務先で確認ができます。
3-3.みなし相続財産
3-3-1.生命保険
被相続人が被保険者となっている場合の生命保険金は相続財産ではないですが、相続税の計算上、相続財産とみなされます。
そこで、どれくらいの生命保険金があるのかを調査する必要があります。この場合、被相続人の生命保険の保険証書や、契約書を探します。保険証券などが見つかったら、その保険会社に連絡を取り、その他に保険契約がないかを確認します。
保険証券などが見つからなかった場合でも、保険料を支払っていれば、預金通帳の取引履歴や領収証などからわかります。
4. 自分で調査しきれない場合
調査をする財産があまりにも多い、また、自分では調査をする時間がない、などといった理由で専門家に代行で調査をしてもらおうと思った場合、弁護士・司法書士・税理士などの専門家に財産調査依頼をすることができます。
相続財産に関する情報が不十分なまま、予測に基づいて調査をした場合でも、全て洗い出せる可能性もありますが、相続手続きの中で調査漏れがあった場合、あとから税務調査で追徴されてしまうこともあります。
また、相続財産の中には事項が存在するものがあります。預貯金債権の時効は10年です。つまり、預貯金債権の存在を知らないまま10年を経過すると銀行は相続人に対して預貯金を返さなくてよいのです。その場合には、そのお金は銀行のものとなってしまいます。
例えば、被相続人が500万円のヘソクリを誰にも気づかれない様にコッソリ貯めていた場合10年経過後に相続人が気づいたとしても、原則として取り戻すことはできません。
そのようなことにならないためにも、前述のとおり、相続財産の調査は相続手続においてとても重要なことです。
まとめ
今回は、主な相続財産の調査方法についてご紹介させて頂きました。
相続財産にはどんな財産があり、どのように財産を調査するのかを予め知っておけば財産を遺す方も、遺される方も、今からできることに気づけるかもしれません。
また、実際に相続が発生した際に、焦らずに相続財産の調査を進められると思います。
相続財産の範囲が多岐に渡り、ご自身で調査を進めることが限界であれば専門家へ依頼をするのも良いでしょう。
相続財産の申告漏れや、存在を知らないまま放置される財産のないように、しっかり備えて調査しましょう。
著者:相続ハウス 栗田 千晶 (相続診断士)
監修:税理士法人エスネットワークス