相続の方法を知らないとこれからの時代は損をする。生前贈与に生命保険を使うとしたら

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生前贈与に生命保険を使うと良いと聞いたことはありますでしょうか。

普通に現預金等を生前贈与してしまうと、贈与を受けた方(受贈者)がすぐに使ってしまうのではないか。まだ、稼いだこともないのに、多額の現金を持たせるのは、金銭感覚や勤労意欲を失わせることになってしまわないか。など、相続対策をしたいと思っても、このようなことを解消しなければ、贈与をしようとする子供や孫のその後が心配。でも、これらが解消できるなら、贈与したいと思っている方(贈与者)が多いのも事実です。

これらの心配を解消できる方法として、生命保険を使う方法があります。

今回は、生命保険を使った生前贈与の手法、メリットとデメリット及び生命保険を利用した失敗例や有効な活用事例をご紹介し、最後に、生前贈与としてではない保険の活用方法についても触れたいと思います。

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1.生命保険を使った生前贈与の手法

生命保険を契約するときには、保険の支払額や期間、受取額や時期の他に、契約者・被保険者・受取人を誰にするのかを指定します。

では、生前贈与に生命保険を使うとは、どういうことなのかを分かりやすくご説明するために、あるご家族を思い浮かべてください。

贈与者 受贈者・契約者 被保険者 受取人

20151221_01a

まず、相続対策をしたい父が生前贈与したい子に贈与します。

子はそれを元手に目的に応じた生命保険などに加入します。

例えば、契約者が子で、父を被保険者にして、受取人を子にすると、父が亡くなったときに、子は保険金を受け取ることができます。

贈与者 受贈者・契約者 被保険者 受取人

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また、子が契約者で、被保険者も子、受取人を孫にすることもできます。この場合には、父が亡くなった時点で贈与がされなくなりますが保険契約は継続しますので、子は、保険料を自身で工面する必要があります。

どちらにせよ、ポイントは、契約者は受贈者であるということです。それ以外の、被保険者や受取人は誰であっても良いのです。

この保険料を年間110万円に抑えて、贈与税がかからないようにする贈与を行っている方が多いです。

2.生前贈与に生命保険を使うメリット

2-1.現金をそのままもらうよりも受取額が多くなる可能性が高い

保険を利用する贈与では、贈与者が贈与した額よりも受贈者が実際に受取る額の方が多くなることが一般的です。

これは、贈与を受けた資金を元に保険会社が運用することで、受取額を増やすことができるからです。

昔に比べるとその運用利率は低くなってしまいますが、預金口座に置いておくことで得られる金利よりかは多くなる傾向にあります。

また、その利率は、商品ごとに異なっておりますので、ご自身にあった商品を選択してください。

ただし、利率が良ければ良いほど、リスクも高くなることも確かですので、しっかり、ライフプランナーの説明を聞いてください。

2-2.名義預金になりにくい

生前贈与で一番気になるのは、贈与を証明することです。そのため、現預金の移動があった場合に起こるのが、それは借りたのか、もらったのかという議論です。

ここで、名義預金にならないための対策でよく言われているのは、下記7点です。

  1. 贈与者があげたと意思表示すること
  2. 受贈者がもらったと意思表示すること
  3. 受贈者のコントロール化にあること
  4. 受贈者が利用していること
  5. 贈与契約書があると尚良い
  6. 金銭の移動は通帳に履歴を残すと尚良い
  7. 贈与税の申告をしておくこと

これら、すべてを満たしていないと絶対に名義預金になるということではないですが、これらを満たしていれば、名義預金にされてしまう可能性は極めて低くなります。

この、④を確実に満たすことができるのが、保険利用です。もらった資金を保険という商品の購入に利用しますから、④を満たしていることになります。

2-3.受取り時期をコントロールすることができる

現預金で贈与をした場合、受贈者は、それを自身でコントロールしますから、受贈者がまだ若い場合や、性格的に浪費家傾向にある場合には、贈与者がまだ早いと思うこともあるかと思います。

この点、保険を利用することで、いつからその受取を開始するかを指定することができます。

また、その受取りは、ある時期に一括ですることもできますが、ある時期以降何年かに分けて受け取ることもできます。

この設定をすることで、小さいお子様やお孫様が、一定の時期に来てから受け取るように、または、一定の時期から数年間、定期的に受け取れるようにすることができますので、贈与者も安心です。

3.生前贈与に生命保険を使うデメリット

3-1.途中で贈与が途絶えた場合に困ることがある

保険利用の贈与は、贈与を受けた受贈者がその資金を元に保険の支払いをします。また、贈与者は、その時々で贈与する意思を示すことが必要ですから、もし、贈与者が途中で贈与できない事情が起こってしまった場合、例えば、考えが変わったり、認知症などが発症してしまい意思を示すことができなくなってしまったり、亡くなってしまった場合等には、受贈者(契約者)は、その保険料を自身で準備しなくてはならなくなります。

支払い期間と、もしそうなってしまった場合に支払いが可能な範囲の保険料で、契約するのが良いでしょう。

3-2.予定より早く解約する場合に原本割れするリスクがある

3-1.のような事情により、保険の契約者(受贈者)が支払いをできなくなってしまった場合、その契約を解約せざるを得ない場合が出てくるかもしれません。

その場合は受取予定額が全額受け取れるということにはなっておらず、解約返戻金というものを受け取ることになります。そしてこの解約返戻金は、時期によって変動するのが一般的です。

ですから、解約時期によっては、今まで支払った保険料の総額を大幅に割ってしまう場合もあります。

こちらも、よく考えて、契約する商品を選択してください。

4.保険活用の失敗例

4-1.保険の支払いを一時払いでする方法

贈与者が、相続対策で保険を使うと良いという話を聞き、受贈者のために1,500万円を下記の契約で一時払いしました。

贈与者 受贈者(契約者) 被保険者 受取人

この場合、この1,500万円を一括贈与したことになるため、受け取ったお子様は贈与税366万円を支払う義務があります。

実際に、親から「ここに印鑑を押して欲しい」と頼まれて、何のためかを確認せずに押してしまったということがあるようです。

後で、「確かに押したけど、こんなことになるなんて」とならないように、注意しましょう。

4-2.途中で契約者を変更する方法

贈与者が、下記の契約で保険に加入しました。

契約者 被保険者 受取人

その後、ある時期を過ぎてから、契約者を子に変更しました。

契約者 被保険者 受取人

この変更を行う場合、本来であれば、子は贈与を受けたということになり、贈与時の解約返戻金に応じて、贈与税を支払う義務があります。

これを知らずに、良かれと思って契約者の名義変更を行う親御さんもいらっしゃいます。

解約返戻金が多い場合には、子は、贈与税を支払うことになりかねませんので、こちらも注意が必要です。

また、この契約者の変更後に、親が保険料の支払いをしている場合などは、そちらも贈与税の対象になります。

5.保険を活用した贈与の事例

※5項では、仮に運用利率を1.2とした例で作成しておりますが、この利率の商品があるか否かは各保険会社にお問い合わせください。

5-1.祖父から孫への贈与

お孫様に贈与をしたいけどまだ小さい等の理由で、今すぐお孫様の手元に多額の資金を渡したくないということがあるかもしれません。その場合にはどのような保険契約が考えられるでしょうか。

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例えば、下記のような契約ができます。

贈与者 支払い 年支払額 受贈者

(契約者)

被保険者 受取人 受取り 受取額
祖父 5年 200万円 年金払い 月10万円を10年間

この場合、孫は、お父様が亡くなった後、受取りをすることができます。

お爺様は孫にあげたいという意思を尊重できますし、今すぐ孫の手元に現預金が渡るわけではないため、小さいから多額の資金を渡したくないというニーズにも対応できます。また、分割して受け取ることができるので、一時に受け取る場合よりもその資金を有効活用できると考えられます。

このとき、被保険者をお爺様にすることもできますが、まだ、受取時には、学生であることも考えられますから、お父様にしておくことで、その受取時期をより後ろ倒しすることができます。その上、契約時にお爺様よりお父様の方が若いですから、その分受取額が多くなることが一般的です。

更に、贈与は相続発生直前3年間で推定相続人にした場合は、相続財産に含めるとされておりますが、お父様がご健在の場合には、お孫様は推定相続人に当たりませんので、直前に行った贈与でも、原則として相続財産に含める必要はありません。お爺様がご高齢の場合には、有効かもしれません。ただし、お爺様は、毎年お孫様に贈与の意思を表明する必要があります。

5-2.父から子への贈与

今の年金制度は、今後どうなるか分からない世の中ですから、例えば、お子様の老後の資金が心配だから、少しでも足しにしてもらいたいと思うこともあるかもしれません。その場合にはどのような保険契約が考えられるでしょうか。

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例えば、下記のような契約ができます。

贈与者 支払い 年支払額 受贈者

(契約者)

被保険者 受取人 受取り 受取額
10年 100万円 年金払い 月5万円を20年間

この場合、お子様は、お父様が亡くなった後、ちょうど退職をされるころかもしれません。そのころから、年金にプラスアルファで収入があることになりますので、受取人であるお子様は、老後に少しの余裕ができるかもしれません。

お父様が、まだまだ元気でいらして、お子様の将来が心配等の場合には、有効かもしれません。この場合も、お父様は、毎年、お子様への贈与の意思を表示する必要があります。

5-3.夫から妻への贈与

ご主人の収入が多く、奥様は専業主婦やパート収入のみのご家庭等で、ご主人の相続対策をしていかないとお子様が大変になってしまうのではないかとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

その場合にはどのような保険契約が考えられるでしょうか。

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例えば、下記のような契約ができます。

贈与者 支払い 年支払額 受贈者

(契約者)

被保険者 受取人 受取り 受取額
20年 50万円 一時払い 1,200万円

この場合、お子様は、お母様が亡くなった後、一時に受け取ることができます。お父様の相続財産を抑えることができます。ご主人と奥様の収入の差が大きく、長期間かけてできる場合には、有効かもしれません。この場合も、ご主人は、奥様への贈与の意思を毎年表示する必要があります。

6.相続対策としての生命保険活用との違い

保険は、生前贈与以外にも相続対策として役立つ場合があります。

例えば、現金で1,000万円持っているよりも、保険で1,000万円持っていた方が、税金を安くすることができます。これは、保険受取額が「法定相続人×500万円」までは非課税という税法があるためです。

また、上述しました様に、保険の支払額と解約返戻金を比較すると、通常、解約返戻金の方が評価は低くなりますので、ご家族がその後引き継ぐ予定で、保険契約をした場合には、保険契約をしない場合よりも相続財産としての評価を下げる効果があります。

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まとめ

今回は、生命保険を使った生前贈与について、ご説明いたしました。

生前贈与に生命保険を使うと良いと聞いたことがあるけれど、どういう手法なのか、そのメリットとデメリットは何なのか、またやってはいけない生命保険の使い方や有効な活用事例をご紹介させていただきました。

保険は、様々な種類がありますから、ご自身や家族にとって良い手段を選べるように、きちんとライフプランナーの説明を確認して、有効に活用していただければと思います。

著者:相続ハウス 小嶋 由佳(税理士)
監修:税理士法人エスネットワークス

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