知っておくべき遺産相続にかかる3つの税金と有効な節税方法

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遺産相続 税金

遺産を相続する際にどのような税金がかかるのか、また「財産がどれくらいあると税金がかかるの?」とお思いの方も多いのではないでしょうか?

相続税は、基礎控除額を超える財産をお持ちの方にのみかかる税金です。
つまり、すべての人にかかる税金ではなく、一部の人にしか関係ないということになります。

ところが、遺産を相続する際には、相続税以外にも税金が発生する場合があります。

それでは、どのような場合にどのような税金がかかるのでしょうか。
これから遺産相続に係る税金について、また、相続税の節税対策についてご紹介していきたいと思います。

1.どのような税金が誰に課税されるのか

相続が発生すると、亡くなった方が所有していた一切の権利や財産を相続人等が受け継ぐこととなります。
発生する税金に関しては、大きく分けて、相続税、所得税、登録免許税が相続人等の財産を受け継ぐ人に対して発生します。

それでは、この3つの税金について詳しく見ていきましょう。

2.相続税

2-1.相続税は必ずかかるの?

相続税はすべての人に発生するわけではなく、相続財産の総額が基礎控除額を超えた場合に、その超えた部分に課税されます。
つまり、相続財産の総額が基礎控除額内であれば相続税は発生しません。

相続税の基礎控除額とは、3,000万円×600万円+法定相続人の数で算出します。
この法定相続人の数え方については、注意が必要です。

例えば亡くなった方に養子がいた場合を考えてみましょう。
養子は法定相続人の1人です。
ただし、相続税法上養子がいる場合の法定相続人の数え方に制限があります。

法定相続人の中に実子がいる場合、普通養子は1人まで、実子がいない場合の普通養子は2人までしか法定相続人の数に算入することができないことになっています。

なお、特別養子縁組をした者、連れ子養子、代襲相続人で被相続人の養子となった者は実子とみなされ、養子の数の制限を受けることはありません。

また、法定相続人の中で相続放棄をした人がいた場合は、計算上は放棄がなかったものとして法定相続人の数に算入して計算します。

基礎控除額

2-2. どんな財産が課税対象財産となるのか

課税対象は亡くなった方の現預金や不動産、有価証券等のプラス財産のほか、借金や未払金等のマイナス財産及び生命保険金や死亡退職金のように死亡によって発生したみなし相続財産となります。

一方、政策的考慮によって、相続税がかからない非課税財産があります。
非課税財産には、亡くなった方が生前から所有していた墓地、墓石、仏壇等があります。

また、生命保険金や死亡退職金を代表とするみなし相続財産は、一定の金額までは非課税となり、非課税枠を越えた部分が相続税の課税対象とされます。

【財産一覧】
金融資産 ●現預金 ●有価証券
不動産 ●土地・家屋 ●借地権 ●農地・山林
その他 ●貸付金 ●特許権・著作権 ●貴金属・宝石・骨董品
●借金 ●3年以内に贈与した財産 など
みなし相続財産(※) ●生命保険金 ●死亡退職金

※みなし相続財産とは、本来は相続財産ではありませんが、被相続人の死亡を原因として相続人のもとに入ってきた財産であり、税法上みなし相続財産として扱うものです。

【非課税財産】
●墓地、墓石、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもので、生前に購入されたもの
●宗教、社会福祉事業、学校法人等の公益事業に確実に使われる財産
●国などに寄付した財産
●心身障害者給付金を受け取る権利

2-3.誰がいつまでにどこに支払うのか

相続税の申告及び納付は、原則として相続が発生した日から10ヶ月以内に相続人が行なわなければなりません。
期限内に申告をしない場合は、相続税の他に無申告加算税や延滞税が発生する場合があります。

申告書の提出先は、亡くなった方の住所地を管轄する税務署です。
支払先は、税務署だけではなく金融機関、郵便局の窓口でも行なうことができます。

納税に関しては、現金一括納付が原則です。
その為、相続財産の割合で不動産が多く預貯金が少ない方等、すぐに現金で納税資金を用意できない方は注意が必要です。

2-4.相続税の計算方法

下の図は相続税を計算する際の大まかな流れです。
具体例を用いた計算方法は、詳細を記載した記事がありますのでそちらを参照下さい。

▼詳しくはこちら
どうする相続税!これだけはおさえたい相続税の基礎!

相続税 計算

▲画像をクリックすると拡大表示されます。

相続税速算表

3.所得税(準確定申告)

期限のある相続手続きの中で、意外と見逃してしまう方が多いのが準確定申告の手続きです。

亡くなった方が、自営業の方、2ヶ所以上から給与を受けている方、不動産収入等が一定以上ある方、医療控除の対象となる高額の医療費を払っていた方等の場合、申告・納税をします。
亡くなった方は自身の確定申告を行えませんので、亡くなった方の代わりに、相続人が行います。これを準確定申告といいます。

準確定申告は相続発生から4ヶ月以内に亡くなった方の住所地を管轄する税務署に申告書を提出する必要があります。
亡くなった方が毎年確定申告をしていた人だけではなく、不動産の家賃収入がある方や一部の有価証券をお持ちの方は申告する必要がある場合があります。
詳しくは税理士にご相談下さい。

確定申告

▲画像をクリックすると拡大表示されます。

相続税 税率

4.登録免許税

登録免許税とは、登記や登録手続き等をする際に係る税金のことを指します。

例えば、亡くなった方の名義で登記されている不動産を相続人名義に変更をする際には、登録免許税が発生します。
登録免許税は、法務局へ登記申請をする際に支払うのが通常です。

登録免許税の算出方法は、固定資産税評価額に税率をかけることによって算出します。
税率は、登記の原因によって異なります。
例えば、相続を原因とする場合、固定資産税評価額に0.4%かけた金額が登録免許税となります。

▼詳しくはこちら
相続税以外にも税金がある!相続登記に必要な登録免許税

5.相続税対策

相続税は、様々な特例や方法を使って対策をすることができます。
これから、今からできる相続税対策をご紹介します。

5-1.小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、被相続人が所有していた居住用宅地や事業用宅地の相続において、小規模宅地等に該当するものについては、相続税の評価額を大幅に減額することができる制度です。

例えば、相続税法上の土地の評価額が1億円の場合、居住用宅地に小規模宅地等の特例を適用すると、土地の評価額が80%減額され、2,000万円となります。
本来ならば土地を持っているだけで相続税が発生する方も、小規模宅地等の特例を適用すれば相続税が発生しなくなる場合もある為、非常に有効な相続税対策です。

この特例を適用する為には一定の要件を満たす必要があります。

小規模宅地等の特例

▲画像をクリックすると拡大表示されます。

5-2.配偶者控除と二次相続対策

配偶者控除とは、亡くなった方の配偶者が相続や遺贈によって取得した財産の総額が、法定相続分以内であること、もしくは配偶者の取得する相続財産が1億6,000万円未満であれば相続税がかからない特例のことです。

つまり、配偶者が被相続人の財産をもらった場合、1億6,000万円未満は無税、または1億6,000万円を超えた場合であっても、法定相続分までなら相続税額は0円ということになります。

ただし、二次相続を考えた遺産分割をしなければ後々高額な相続税を支払わなければならなくなる可能性があります。

父親の相続が発生した場合を考えてみましょう。
下記の図のように、一次相続の際に子どもにも父親の相続財産を相続させ相続税を支払い、二次相続の際にも相続税を支払うことになったとしても、結果として一次相続の際に配偶者が100%相続した場合よりも納める税金が少なくすむ場合があります。

その為、相続税が発生する場合には次の相続のことも考えた遺産分割を行うことをお勧めします。
どのように分割すれば良いのか迷われる方は、税理士等の専門家にご相談されることをおすすめします。

▼詳しくはこちら
奥さんは無税って本当?相続税の配偶者控除を分かり易く解説

二次相続

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5-3.生前贈与

5-3-1.暦年贈与

暦年贈与の課税対象期間は、1月1日~12月31日までの1年間の間に受贈者(財産をもらった人)が取得した財産の合計額をもとに贈与税が課税されます。

贈与税には110万円の基礎控除額が設けられています。
つまり、課税対象期間中に受け取った財産が110万円以下であれば贈与税がかからずに財産を取得することができます。

これを上手く使うことで、大幅な節税対策を図ることができます。
例えば、毎年110万円ずつ贈与した場合、10年後には1,100万円を贈与税がかからずに財産の承継をすることができます。

ただし、法定相続人に対する贈与で相続開始前3年以内に受けた財産については相続税の課税対象となり、相続税が課税されます。

5-3-2. 相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、生前に贈与を行う時には2,500万円までが特別控除となりますが、その代わり、相続時に「贈与された財産」と「相続した財産」の合計額に対して相続税がかかる、いわば相続財産の前渡しができる制度です。

この制度を使うと贈与時の価格が課税される金額となる為、将来値上がりが期待される不動産等をお持ちの方は、この制度を使って生前に贈与しておくと節税が期待できます。

ただし、デメリット等もありますので、相続時精算課税制度を使う前に必ず税理士に相談されることをお勧めします。

▼詳しくはこちら
相続税対策に意外と使える!相続時精算課税制度の活用法

5-3-3.教育資金一括贈与(平成31年3月31日まで)

30歳未満の者の教育資金に充てる為に、父母や祖父母等の直系尊属が金銭等を出し、金融機関に信託等をした場合には、受贈者1人につき1,500万円(学校以外の物については、うち500万円)までの金額については贈与税が非課税となります。

ただし、受贈者が30歳を過ぎた時に使い残した金額があった場合は、その金額に対して贈与税がかかってしまう為、注意が必要です。

教育資金の一括贈与

▲画像をクリックすると拡大表示されます。

5-3-4.結婚・子育て資金一括贈与(平成31年3月31日まで)

20歳以上50歳未満の結婚・子育て資金に充てる為に、父母や祖父母等の直系尊属が金銭等を出し、金融機関に信託等をした場合には、受贈者1人につき1,000万円(結婚資金については、うち300万円)までの金額については贈与税が非課税となります。

ただし、受贈者が50歳を過ぎた時に使い残した金額があった場合は、その金額に対して贈与税がかかってしまう為、注意が必要です。
また、贈与者の相続が発生した時点での残高金額は、相続税の課税対象となります。

結婚・子育て資金の一括贈与

▲画像をクリックすると拡大表示されます。

5-3-5. 住宅取得資金贈与の特例(平成31年6月30日まで)

父母や祖父母等の直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たす場合は一定の金額まで贈与税が非課税となる特例です。

適用を受ける為には、贈与税の申告が必要となります。

5-3-6. おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。

適用を受ける為には、贈与税の申告が必要となります。

5-4.生命保険の控除制度

生命保険を使うと、非課税枠(500万円×法定相続人の数)があることや、相続税評価額を圧縮できる等の利点があります。

▼詳しくはこちら
相続税額を大幅に抑える!生命保険でできる相続税対策

5-5.不動産の購入

現金を持っていると、現金はそのまま相続税課税価格になります。

一方、土地の場合には貸家や貸家建付地、小規模宅地等の特例等の土地の評価額を下げる方法があります。
つまり、現金を不動産に変えるだけで、節税効果が期待できます。

ただし、不動産を購入すると他の問題が出てくることもありますので、購入される前には、専門家に相談することをおすすめします。

▼詳しくはこちら
土地の有効活用で賢く相続税対策をする4つのポイント

6.まとめ

今回は、遺産を相続する際にどのような税金がかかるのか、また、相続税対策についてご紹介しました。

相続税や準確定申告等の税金が関わる手続きに関しては、相続が開始した時から申告・納税までに期限があるので注意が必要です。

相続税は生前に対策をすることが可能です。
お元気なうちに、対策をされてはいかがでしょうか。

著者:山﨑 あすか(相続診断士)
監修:税理士法人エスネットワークス

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