気軽な資金移動の恐怖/完全版!名義預金の回避方法

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名義人になっている方が、その財産を保持しているに足る収入がない場合などは、調査の対象になる可能性が高くなります。

3-4.贈与税の申告をしているか

贈与する金額が110万円を超えた場合には、贈与税の申告が必要になります。(贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの間に申告をします)

贈与税の申告書と、2-3でご説明した贈与契約書を作成し、贈与税を納税しましょう。

4. 名義預金に時効はあるか

贈与の場合、贈与されたことを知らずに、納税や申告をせずに6年経過してしまったら時効になります。申告の必要があると知りながら、納税、申告をしなかった場合は7年経てば時効になります。

では、名義を相続人に移した時から7年以上が経過し、相続が発生した場合、時効が認められるのか・・・というと、認められません。

7年前に贈与申告をし、贈与契約書を作成していなければその財産は相続財産としてみなされてしまいます。

贈与には時効があるという点に着目して、時効になるのを待てば良いと思う方もいるかもしれませんが、贈与を主張するのであればきちんと贈与契約を交わしておかないと後々認めてもらえません。もちろんその時に贈与税申告・納税も必要です(110万円を超える場合)

結局のところ、贈与契約をして贈与税申告をするか、後になって相続税申告をするか、どちらにせよまとまった額のお金を移す場合には、税務署の目からは逃れられないという結論に至ります。

5. 名義預金になってしまった事例

5-1. 子の生命保険

母は、生前から子の金遣いの荒さを懸念し、自分に何かあった後に子が生活に困らないようにと子の口座を作り、子を契約者として生命保険に加入していました。

子はこの事実を知らず、母が亡くなってから毎月お金が入るようになりました。しかし、のちに税務調査が入り、この口座に残っていた財産と保険が相続財産の対象となってしまったのです。

5-2. 妻のへそくり

子がいない夫婦で、妻は専業主婦でした。

夫が亡くなった時、妻の口座には1億円の貯金がありました。

この夫婦は夫が仕事で忙しく、妻に寂しい思いをさせるからと毎月生活費として100万円を渡していたのですが、これを貯めていたものが税務署から指摘されてしまったのです。

生活費は原則非課税であるが、それを大幅に超えるものは贈与、または夫の財産として見なされてしまうのです。

5-3. 孫への贈与

祖父は、娘と孫がいますが娘とは折り合いが悪く連絡をあまり取り合っていない状態でした。ただ、孫のことは可愛がっていて、孫はまだ小さいが自分の財産を遺してあげたいと、孫名義の口座を作って、毎年いくらかをその口座に振り込んでいました。

まだ孫が小さかったため、通帳や印鑑などは祖父が管理をしており、娘はその事実を知らされていませんでした。

数年後、祖父の相続が発生した際に、この孫名義の口座は祖父の相続財産として見なされてしまい、相続税の対象となってしまいました。

まとめ

今回は、名義預金と贈与の違い、相続発生後に名義預金としてみなされないように気をつけるポイント、名義預金になってしまった事例をご紹介させていただきました。

知らず知らずのうちに、ご自身の口座が、また、ご自身の家族に善意で作った口座が名義預金の対象になっていないように、今一度ご確認ください。

名義預金としたつもりはなかったとしても、仮に相続が起こり相続税申告が終わった後に税務調査が入りそこで名義預金として相続財産扱いになってしまった場合、追徴課税されることもあります。

家族のためを思ってお金を積み立てていたとしても、後になって払わなくて良かった税金を納めることになってしまっては、意味がありません。

まとまったお金を動かした場合、税金が課されないことはないと考えていただき、そのお金にかかる税金が何税にあたるのか、そして、申告・納税・契約書作成という形で、動かしたという証拠をきちんと残しておきましょう。

著者:相続ハウス 栗田千晶(相続診断士)
監修:税理士法人エスネットワークス

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