テレビや雑誌などで、遺言がなかったために仲が良かった家族がバラバラになってしまった、という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
遺言はとても効力が強いものです。
相続人全員が「遺言と違う分け方をしたい」と主張しない限り、その遺言通りに遺産が分割されます。
遺言の種類の中でも「公正証書遺言」は費用がかかる分、その成立は保証されますので一番確実です。
自分の大切な家族のために遺言を作りたいと思う方もいらっしゃると思いますが、作るのにどれくらいの費用がかかるのかが肝心ですよね。
そこで今回は、公正証書遺言の費用についてご説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.公正証書遺言とは
遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
中でも公正証書遺言は国の機関である公証役場にて公証人(元裁判官や検事、弁護士などの豊かな法律職としての経験を有する人々で、公証人法に基づいて選ばれた特別な地位にある法律家)が作成するものですので、他の2つと比べて紛失や改ざんの恐れがなく、最も確実に成立するものと言えます。
その分、費用が他の2つよりかかりますが、法定相続人以外に財産を相続させたい、指定の財産を確実に特定の相続人に遺してあげたいなど、遺言がないと実現しない分割方法をしたい場合は、安心で確実な公正証書遺言を作成することをおすすめします。
▼公正証書遺言についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
【安心!確実!揉めない!手間楽!公正証書遺言のすすめ】
【どれが良い?遺言書の種類別/手間と効果と費用の比較 】
2.費用
2-1.公正証書遺言作成手数料
公正証書遺言作成にかかる手数料は下記の通りです。
全国どこの公証役場で作成しても同じ金額です。
遺言書に書く財産の合計額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5,000円 |
100万円超え200万円以下 | 7,000円 |
200万円超え500万円以下 | 11,000円 |
500万円超え1,000万円以下 | 17,000円 |
1,000万円超え3,000万円以下 | 23,000円 |
3,000万円超え5,000万円以下 | 29,000円 |
5,000万円超え1億円以下 | 43,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 43,000円に5,000万円ごとに13,000円を加算 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5,000円に5,000万円ごとに11,000を加算 |
10億円を超える場合 | 24万9,000円に5,000万円ごとに8,000円を加算 |
2-1-1.相続人が複数の場合
相続人が複数の場合、手数料は財産を受け取る人ごとに計算して合計します。
遺言に記載する金額の合計で手数料が決まるわけではないので注意が必要です。
計算例を「2-1-5.計算例」に記載しましたので参考にしてみてください。
2-1-2.遺言に記載する金額が1億円以下の場合
遺言に記載する金額の合計が1億円以下の場合、相続人の数に関係なく11,000円が加算されます。
2-1-3.遺言を取り消す場合の費用
遺言を取り消す場合の費用は11,000円です。
2-1-4.不動産はどのように金額化するのか
不動産を金額化する場合は、遺言作成時の固定資産評価額を使用します。
相続税を計算する時に使う路線価や、実際に売買する際の価格(実勢価格)ではありませんので注意しましょう。
2-1-5.計算例
①遺言書で、妻に1,000万円、長男に3,000万円を相続させると書いた場合の手数料
17,000円(妻の分)+23,000円(長男の分)+11,000円(合計額が1億円未満の場合の加算分)=51,000円
②遺言書で、妻に1,500万円、長男に現金3,000万円と不動産(固定資産評価額8,000万円)を相続させると書いた場合の手数料
23,000円(妻の分)+(43,000円+13,000円(長男の分))=79,000円
③遺言書で、長男に1億円、次男に8,000万円、三男に4,000万円相続させると書いた場合の手数料
43,000円(長男の分)+43,000円(次男の分)+29,000円(三男の分)=115,000円
※上記の例は基本的な場合であり、実際は金額が違うこともあります。必ず事前に公証役場で確認をしましょう。
2-2.証人費用
公正証書遺言作成には証人が2名以上必要です。