この手続きには、特に期限がありません。
ただし、相続に限らず、長期間取引が無かった口座は、法律上は5年または10年が経過すると、(引き出す)権利が消滅します。
現状は、それ以上が経過しても引き出すことができることが多いようですので、やはり期限は無いと理解しておいて良いでしょう。
口座の解約・または名義変更を行う場合には、まず被相続人がお金を預けている銀行にその旨を伝えます。
銀行によって、手続きに必要な必要書類や記入する書類が変わってくるので、まずは問い合わせてみてください。
この時に、遺言書もしくは遺産分割協議書が必要になってくるので、これらが用意されていない場合には、銀行口座の解約や名義変更手続きは原則としてできません。
また、被相続人の連続戸籍や、被相続人の相続人であるという記載のある戸籍等も必要になってきます。
これらの書類には、銀行によって取得してからの期限が設けられていますので、取得するタイミングにも気を付けてください。
証券口座についても、基本的には銀行と一緒です。
ますは、証券会社に解約・名義変更の旨をご連絡することから始めてください。
3-2.生命保険金の受取り
被相続人が、生命保険に加入していた場合には、受取人となっている方が保険会社に連絡をします。
生命保険については、相続が発生したことを保険会社に伝えない限り、保険会社の方から告知してくることはありませんので、ご自身で問い合わせてください。
保険の受け取りについては、保険商品にもよりますが、概ね2年としているものが多いです。
詳しくは、契約している保険会社等に確認しましょう。
また、受取方法や、記入する書類についても、各保険会社によって異なりますので、お電話をして保険会社の指示に従う形になります。
被相続人が生命保険に加入した場合には、死亡診断書が必ず必要になりますので、失くさないように保管しておいてください。
3-3.不動産登記
相続によって取得した不動産を、売却してしまいたいとお考えになる方もいらっしゃるでしょう。
また、他人に貸して家賃収入を得たいと考える方もいらっしゃるでしょう。
ただし、ご注意いただきたいのが、「2-7.各手続き(名義変更、相続登記、相続税申告等)」で解説した「相続登記」を行って所有権をご自身に移さなければ、他人と賃貸契約を結ぶことや、売却をすることはできません。
これは、相続によって不動産を取得したとしても(遺産分割協議書を作成しても)、その遺産分割協議書を以て登記を行わなければ、権利はあるけれども登記簿上は被相続人名義のままになっているからです。
割と見落とされがちな点なので、相続登記には相続税申告のように期限が設けられていないこともあり、いざ売却をしようと思った時に、被相続人名義のままになっているのですぐに売却できない・・・という様な事例がよくあります。
従って、まずは売却をしようと思ったら、きちんとご自身の名義に登記がされているのかを確認しましょう。
名義変更を行い、はれて所有権が自分に移ったら、その不動産はご自身の意思で保有し続けることも、他人に貸すことも、あるいは売却することもできます。
売却をする際には、まずは対象となる不動産の売買価格の相場を知ることから始めます。
対象不動産の近隣にある不動産屋さんに、査定を依頼しましょう。
何社かに依頼をし、相みつを取られることをおすすめします。
3-4.相続税の申告・納税
相続が発生した際に、人によっては相続税の申告・納税を行わなくてはなりません。
この手続きは、相続人が行います。
まずは、ご自身が相続税の申告を行う必要があるのかを判断する必要があります。
相続税の申告は誰しもが行う訳ではなく、対象となった方のみが行います。
相続税の基礎控除額というものがあります。
基礎控除は、法定相続人が1人以上いれば誰でも控除を受けることができます。
簡単に言いますと、相続財産から基礎控除を引いた残りの額に対して相続税がかかるので、基礎控除額を引いたら0円になる場合には、相続税は発生しません。
つまり、申告・納税の対象外になるという訳です。
では、その基礎控除額はいくらなのか?といいますと、
「3,000万円+600万円×法定相続人数」と定められています。
仮に、被相続人の遺産総額が5,000万円遺されていて、相続人が3人いたとします。
この場合、「3,000万円+600万円×3人」で、基礎控除額は4,800万円になります。
被相続人の遺産5,000万円から、この基礎控除額4,800万円を差し引くと200万円となります。
この200万円が相続税の課税対象となります。
つまり、この場合には相続税の申告・納税が必要になるという訳です。
詳しくは下記の記事を参考にしてみてください。
▼参考
【基礎控除額を計算して相続税がかかるかチェックしてみよう!】
相続税の申告対象であることが分かった場合には、申告書を作成し、相続税がいくら発生するのかを計算します。
そして申告書と共に、算出された税金額を期限内に税務署に支払う流れになります。
申告及び納付は被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。
また、この相続税の申告・納税を放置した場合には、税務署からペナルティが課される場合もありますので、申告期限内に速やかに終えるようにしましょう。
▼参考
【もう過ぎてる?/相続税の申告期限と過ぎた場合のペナルティ】
相続税の申告書の作成や、税金の計算は、遺産の内容によってはご自身で行うのは大変煩雑な作業になります。
また、仮にご自身で行ったとしても、申告書への記入や計算が間違っていることもあるので、後から税務署の調査が入るリスクも高まります。
申告の対象であることが発覚した段階で、専門家である税理士に作業を依頼することも、遺産相続手続きをスムーズに進める為の手段です。
4.まとめ
今回は遺産相続をする際の、手続きとして総括的な解説をさせていただきました。
一般的な手続きの流れにはなりますが、相続が発生するとこれだけの手続きを行う必要があるということです。読んだだけでも気が遠くなるような手続きの多さや、手順かもしれません。
それだけでなく期限が設けられている手続きもあります。
その為、遺産相続手続きを進めていく上で最初に取り掛かるべきことは、ご自身にどんな手続きが必要なのか?また、期限は?必要な書類は?これらの項目を調べることです。