遺産相続の期限と迫る期限への対処方法【総まとめ】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
相続 手続き

遺産相続の手続きには様々な手続きがあります。
その手続きの中には期限があるものがありますが、この手続きの期限がいつなのか、もし期限を過ぎてしまったらどうなるのか、よく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実際に期限を過ぎてしまうと、手続きが煩雑になったり余計な支出が発生したりなど、様々なデメリットが発生します。
どうせ同じ手続きをするなら、早く簡単に終わらせたいですよね。

そこで今回は、遺産相続で必要な手続きの期限を一挙にご説明します。
手続きの期限、期限を過ぎそうな場合の対策、過ぎてしまったらどうなるかをまとめてご説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

スポンサードリンク

1.遺産相続とは

遺産相続とは、亡くなった方の遺産をその配偶者や子、または親や兄弟等の親族が受け継ぐことをいいます。

遺産には、預貯金や不動産、有価証券や美術品、骨董品等だけではなく、銀行へのローン返済やその他の借金等の負債も全て含まれます。

亡くなった方(遺産を遺す方)を被相続人といい、遺産を受け取る方を相続人といいます。

遺産相続は、被相続人が亡くなると同時に開始します。
ここでは遺産相続の期限に焦点をあててご説明しますので、そもそも遺産分割が何なのかをより詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。

▼遺産分割について詳しく知りたい方はこちら
【保存版】急な相続発生で慌てない!遺産相続完全マニュアル

2.期限があるもの・ないもの

遺産相続 期限

2-1.期限があるもの

2-1-1.相続放棄

相続放棄とは、被相続人(亡くなった人)の財産を借金を含めて全て相続しないとすることです。
実際に相続を放棄するためには、下記の2つの方法があります。

①遺産分割協議で「自分の相続分をゼロにする」という旨を書き、署名・捺印する
②家庭裁判所に相続放棄の申請をする

ただし、①は現実的には相続放棄することになりますが、法律上の「相続放棄」は②を指しますので注意しましょう。

①は相続権自体はそのままなので、後に被相続人に借金が見つかった場合はその借金を背負わなくてはいけませんが、②のように家庭裁判所にて相続放棄の申請をすれば相続権自体がなくなるので、借金を背負わなくても大丈夫です。

▼相続放棄についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
これを読めば相続放棄は完璧!相続放棄の総まとめ

【期限】
自己のために相続の開始があったことを知ってから3ヶ月以内

▼詳しくはこちらをご覧下さい。
借金も相続するかも/相続放棄の期限は絶対に知っておくべき

【期限切れによるデメリット】
・被相続人の遺産全て(借金等含む)を相続したことになる
・遺産分割協議などの相続手続きに参加しなくてはいけない

2-1-2.限定承認

限定承認とは、被相続人の遺産のうち、プラスの財産の範囲でマイナスの財産(借金や債務)を相続する、という方法です。
マイナス財産よりプラス財産が多ければ、プラスもマイナスも全て相続します。

逆にマイナス財産よりプラス財産が少なければ、プラス財産を超えたその差額分は相続しません。
つまり借金返済のリスクを背負うことなく遺産を相続できるということになります。

▼詳しくはこちらをご覧下さい。
限定承認で負債相続を回避するための基礎知識と手続方法

【期限】
自己のために相続の開始があったことを知ってから3ヶ月以内

【期限切れによるデメリット】
被相続人の遺産全て(借金等含む)を相続したことになる

2-1-3.準確定申告

準確定申告とは、被相続人が行う予定だった確定申告を代理で相続人が行うことです。
被相続人が下記の項目に当てはまる場合は準確定申告をしなくてはいけません。

・個人で事業をおこなっていた
・不動産収入があった
・給与等の収入が年間2000万円以上あった
・生命保険や損害保険の一時金や満期金を受け取った
・多額の医療費を支払っており、確定申告をすることで所得税の還付を受けられる

収入が年金のみだったという方は、必ずしも準確定申告をする必要はありませんが、申告するとお金が戻ってくる場合があります。

【期限】
自己のために相続の開始があったことを知ってから4ヶ月以内

【期限切れによるデメリット】
・4ヶ月を過ぎて申告した場合には、延滞税が発生する
▼延滞税がいくらかかるかはこちらをご覧下さい。
国税庁ウェブサイト:延滞税について
https://www.nta.go.jp/taxanswer/osirase/9205.htm

・申告自体をしなかった場合には、無申告加算税が発生する
▼無申告加算税がいくらかかるかはこちらをご覧下さい。
国税庁ウェブサイト:確定申告を忘れた時
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2024.htm

2-1-4.相続税申告と納税

相続税申告とは、税務署に相続税申告書を提出し、相続税が発生する場合は相続税を支払うことです。

ただし全ての人が相続税申告をする必要がある訳ではなく、被相続人の遺産総額が基礎控除額を越えるかどうかでする必要がある人とない人に分かれます。

▼詳しくはこちらをご覧下さい。
基礎控除額を計算して相続税がかかるかチェックしよう!

【期限】
自己のために相続の開始があったことを知ってから10ヶ月以内

【期限切れによるデメリット】
・10ヶ月を過ぎて申告した場合→延滞税が発生する
▼延滞税がいくらかかるかはこちらをご覧下さい。
国税庁ウェブサイト:延滞税について
https://www.nta.go.jp/taxanswer/osirase/9205.htm

・申告自体をしなかった場合→無申告加算税が発生する
▼無申告加算税がいくらかかるかはこちらをご覧下さい。
国税庁ウェブサイト:確定申告を忘れた時
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2024.htm

2-1-5.遺留分減殺請求

遺留分減殺請求とは、自分が相続する財産額が遺留分(法律で保障された最低限度の財産額)を下回っている場合、遺留分金額を他の相続人に請求することです。

▼詳しくはこちらをご覧下さい。
知らないと損をする!遺留分減殺請求で最低限の財産を確保!

【期限】
①自分の遺留分が侵されていることを知った場合は、知ってから1年以内
②自分の遺留分が侵されていることを知らなかった場合は、相続発生から10年以内

【期限切れによるデメリット】
時効となり、遺留分を請求することができなくなる

2-1-6.相続税減額特例の適用

相続税申告を行う際、要件が当てはまれば大幅な減税特例を受けられることがあります。
大幅な現在を受けられる主な特例としては下記のようなものがあります。

・配偶者の相続税軽減…配偶者が相続する場合、1億6,000万円または法定相続分までは非課税
▼詳しくはこちらをご覧下さい。
奥さんは無税って本当?相続税の配偶者控除を分かり易く解説

・小規模住宅地の課税価格の特例…自宅や事業に使われていた土地に対して、評価額を最大で80%減額できる
▼詳しくはこちらをご覧下さい。
小規模宅地等の特例を活用して相続税を80%減らす究極の方法

これらは相続税申告にて特例を使う旨を記載して初めて適用されるものですので、相続税申告に期限である10ヶ月までに遺産分割を完了させていなければいけません。

難しい場合には一旦遺産分割を未分割として、相続税申告をして相続税を払い、その後遺産分割を確定させて再申告をすることで特例を適用することができます。

【期限】
原則として申告期限から3年以内に分割し、分割日(遺産分割協議書に記載する日付)の翌日から4ヶ月以内に更正の請求を行う必要がある

【期限切れによるデメリット】
相続税を減額する特例が適用できなくなる

2-2.期限がないもの

2-2-1.遺産分割作業

相続した財産を実際に相続人で分割する作業は、期限がありません。

相続放棄や相続税申告が必要な場合、誰が何を相続するのか決めておく「遺産分割協議」には期限がありますが、その通りに実際に分割する作業には期限はない、ということです。

2-2-2.銀行手続き

被相続人名義の口座解約などの手続きは特に期限はありません。
しかし、あまり時間が経ってしまうと、手続きに必要な書類を取り直さなくてはいけなくなってしまう場合もありますので早めに行いましょう。

2-2-3.不動産登記

被相続人名義の不動産があった場合は登記が必要ですが、登記には特に期限はありません。
しかし、いつでもいいからと放置してしまうと、最悪の場合登記できなくなってしまう可能性もあります。

▼詳しくはこちらをご覧下さい。
放置しているとどうなるの?相続登記の期限と方法

2-2-4.その他の手続き

有価証券や車などの名義変更にも期限はありませんが、早めに行うようにしましょう。

3.期限が迫っている場合どうしたらよいのか

3-1.相続放棄・限定承認

被相続人の財産調査がなかなか終わらず、3ヶ月の期限内にプラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのか判断がつかない場合には、家庭裁判所へ期間を延長する申し立てができます。
これを「熟慮期間の伸長」といいます。

熟慮期間は相続人ごとに別々に進行しますので、期間の伸長は相続人ごとに行う必要があります。

相続財産の洗い出しに時間がかかっている、また、相続をするのか放棄をするのか判断するのに時間がかかっている・・・と間に合わなさそうな場合は、相続人それぞれが家庭裁判所へ申し立てをしましょう。

3-2.準確定申告

準確定申告の期限に延長措置はありません。
過ぎたら延滞税もしくは無申告加算税が課せられてしまいますので早めに申告をしましょう。

3-3.相続税申告

相続税申告の期限に延長措置はありません。

ただし期限までに遺産分割協議がまとまらなくても、一旦未分割で申告をしてその後遺産分割がまとまってから再申告をした場合、再申告時の税金額が前回の税額を越えなければ、延滞税及び無申告加算税は課せられません。

期限までに間に合わないなと思っても、申告しないよりはとりあえず未分割でも申告した方がいいかもしれません。

3-4.遺留分減殺請求

遺留分減殺請求の期限に延長措置はありません。

しかし遺留分減殺請求の期限は「遺留分が侵害されていることを知った時から」であり、「相続が発生してから(亡くなってから)」ではありませんので、今一度自分の場合はいつが期限なのかを確認することが大切です。

ただし相続開始から10年以上経っている場合は、例え遺留分侵害を知らなかったとしても時効となりもう請求することはできません。

3-5.相続税減額特例の適用

相続税減額特例の適用期限に延長措置はありません。

4.注意点

4-1.必要書類の期限について

必要書類の中には役所での保管期限が決まっているものがあり、それを過ぎてしまうと書類を取得するのに多くの時間がかかってしまいます。
最悪の場合もう取得できなくなってしまった、となる可能性もあるのです。

相続手続き自体に期限はなくても放置しているとこのようなデメリットが発生しますので注意しましょう。

4-2.債務の通知がきたら放置しない

もし被相続人名義の債務の通知がきた場合、その時点で「債務の存在を知った」ということになるので、相続放棄の期限である3ヶ月までのカウントダウンが始まってしまいます。
相続放棄をする場合は気をつけましょう。

また、相続放棄をしたとしてもその旨を債権者が勝手に知ることはできませんので、相続放棄をした旨を必ず債権者に伝えましょう。

4-3.どの手続きも、期限が過ぎそう・過ぎてしまった場合は専門家に相談をする

期限が過ぎそうな場合、過ぎてしまった場合は専門的な手続きが必要な場合があります。
自分で判断せず、専門家に相談することをおすすめします。

5.まとめ

ここまで遺産分割の期限についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
「期限があるなんて知らなかったから、知ってからカウントダウンが始まるのではないか」思われる方がいるかもしれませんが、そのような主張は認められません。

もし本当に知らなかったとしても、その人が日本国籍で20歳以上である限り、法律上では知っているとみなされます。
そのため、遺産相続の期限をきちんと把握しておくことはとても重要です。

余計な手間をかけずにスムーズな相続手続きがができるように今から準備をしておきましょう。

著者:相続ハウス 彼末彩子(相続診断士)
監修:税理士法人エスネットワークス

相続が発生したらまずは相談を【お金の知りたい】の無料相続相談

大切な人がお亡くなりになると、悲しむ暇も無いほど、やることがたくさんあります。
何をどうやってどれから進めれば良いのかわからなかったり、余計な手間や時間、支出を避けたいと思っている方は多いと思います。

そう思われる方は「お金の知りたい!」がオススメする無料相続相談を是非ご活用ください。
経験豊富な相続診断士がしっかりとお話を伺い、スムーズな相続のお手伝いをいたします。

詳細はこちら